fc2ブログ

EP8感想

少し気持ちを落ち着けた上で、もう一度感想を書くことにしました。
内容はかなり批判的であると思います。
うまくまとめることもできませんでしたが、これにて自分の気持ちに整理をつけ、終末を受け入れることができると思います。








*****************************
・真実が、読者に明かされなかった点については、別に異論はありません。
しかし、遺族である縁寿が、警察が、世間が真相を求めることについては、否定されるべきではないと思います。
警察なんかはそれが仕事なわけですからね。
許されざる犯罪である殺人事件の真相を求めることと、電車のシートに生息するダニの数を知ることは、まるで次元が違います。
真相を知ると縁寿が傷つくだろうから知らせたくないと思うことは、それはそれで身内からすればもっともな感情かもしれませんが、やっぱり戦人や絵羽のエゴに過ぎません。

・真相の解明を戦人が拒むのは、縁寿のためでもあるけど、同時に犯人であるベアトリーチェを守りたいと思ってしまったから。
閉じられることによって、すべての恋人たちが祝福される可能性を残した、ベアトリーチェの猫箱を守りたいと思ったから。
これでは、単に犯人を擁護しているだけで、極端にいえば共犯者も同然。
あまりにも自己中心的で、愛がどうだとか言って誤摩化すことが許されるとは思えません。

・また、遺族は縁寿だけではないという点についても忘れてはなりません。
南條や熊沢、郷田たちの遺族も当然真相の解明を求めたでしょう。
彼らは、むしろ真相が明かされなかったことに、そしてそれ故にあることないことを邪推されたことに傷つけられた人物です。

・戦人がゲーム盤にて、被害者たちの無念だとか悲壮だとかをいっさいカットし、すべての親族たちや使用人たちの願いが「縁寿に生きてもらうこと」ただひとつであるかのように描いていることは、とても傲慢であり被害者たちの死を軽んじているように感じられました。
あげく、ベルンの六軒島事件を題材にした殺人事件の犯人あてゲームを、その被害者たちにプレイさせるシーンや、その被害者たちが面白がって挑んでいるような描写は、あまりの無神経さに目眩を覚えました。

・戦人こそが偽書作家の一人であった、ということになるみたいですが、そうするとこれまでの展開やテーマとの整合性がいまいちとれない気がします。
偽書の存在もまた、六軒島のウィッチハントのムーブメントを生んだ一因であるはず。
EP3で絵羽を犯人に仕立てて糾弾したり、EP4で楼座親子の冷えた関係をあげつらったり、EP5で夏妃を知的強姦したりと、あれこそが死者の尊厳を踏みにじる行為以外の何ものでもありません。
それが、すでに別人みたいなものとはいえ、過去に戦人であり、戦人の記憶を持つ人物によるものだったとするなら、それには何の意図があったのか、どうしても理解が出来ません。

・ほとんどが生還しないエンディングとなったことで、登場人物の誰もが多くの解決すべき問題点を抱えながら、ひとつも解決できずまったく成長しない結果を迎えました。
戦人、ベアトリーチェ、紗音、嘉音、縁寿は物語が進むに連れてある種の変化を見せましたが、あれを成長と呼んでいいのかはわかりません。
ひぐらしでは、作中のキャラが取り返しのつかない過ちと後悔を繰り返し、徐々に成長していく様子が描かれてて、そんな少年漫画的なところも好きだったので、それと比べるとうみねこはちょっと残念ですね。
とくに、戦人とベアトリーチェには、もう少し生への執着のようなものを見せてほしかったです。
ベアトリーチェは、10月4日を迎えた時点でもはや死ぬことしか考えていませんからね。
「運命が過酷すぎて屈してしまった」ということですが、ひぐらしでその過酷な運命と戦った梨花や仲間たちを見てきた身としては、ただの怠惰にしか見えませんでした。

・しかし、私が「惨劇を回避するために、事件や犯人の謎を解明しようとした」ということは、つまりは「もし惨劇を回避して全員が生還するエンディングを書こうとしたら、いくつかの謎の解答をしなければならない」ということにもなると思います。
作者である竜騎士先生が、「謎を明確には明かさない」という意思を持って書かれていたのなら、惨劇回避エンドは書くことができないということになります。
よって、その過程のストーリーはともかくも、結末そのものについては納得せざるを得ないのだと思います。
「アンチミステリー」もまた、確かにこの作品の重要なテーマだったのですから。
スポンサーサイト



theme : うみねこのなく頃に
genre : ゲーム

line
line

comment

管理者にだけ表示を許可する

line
line

line
プロフィール

藤崎和歌奈

Author:藤崎和歌奈
FC2ブログへようこそ!

line
リンク
line
最新記事
line
カテゴリ
line
月別アーカイブ
line
最新コメント
line
最新トラックバック
line
FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

line
検索フォーム
line
RSSリンクの表示
line
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

line
QRコード
QRコード
line
sub_line